「士業を極める技術」菰田泰隆弁護士インタビュー

横須賀輝尚が主に執筆を担当し、菰田弁護士が監修した2人の共著「士業を極める技術」が出版された。この本には、高難度業務の定義から、高難度業務を取り扱うことで高額報酬になるロジック、クライアントのニーズを引き出す方法が書かれている。今回は、監修者である菰田泰隆弁護士に、本書についてのインタビューをお願いした。

質問:今回菰田先生には本の監修として関わっていただきましたが、自分の名前が出る本というのは今回が初めてですか?

そうですね。本の話は過去もいただいたことはありましたが、忙しいのもあって見送っていたので、自分の名前が出るものとしては今回の書籍が初めてです。

質問:発売後良い売れ行きを見せているそうです。いかにこの本が注目されているかということの表れだと思います。この本に対する菰田先生の感想や思いをお聞かせください。

「士業を極める技術」というタイトルではありますが、この本に書かれていることは、一言で言うと「お客さんのニーズを掴むことの重要性とその掴み方」です。おそらく士業というのは、良くも悪くも、人の褌で飯を食うような仕事です。自分たちでは何も生み出せなくて、人のお手伝いをするのが生業。クライアントがいなければ絶対に成り立ちません。

だとしたら、「クライアントのニーズをいかに満たせるか」が士業としての本質的な部分ではないかというのが、私と横須賀さんとの共通理解です。この本にはそこが凝縮されています。この点をあまり意識してない士業の方も、この本を読んでそういう視点を持てるようになってもらえたら、また仕事のやり方や楽しさが変わってくるのではと思います。

私が雇っている弁護士たちにも読んでほしいんですけどね。「読んでいいよ」って言って事務所に置いてますけど、未だに誰も手に取らないですね(笑)

質問:「士業のレベルを上げて実力を高めれば報酬も上がっていく」ということが、この本全体を通じて伝えたいことだ。 全ての人には伸びしろがある。「今の自分は士業としてこの程度だろう」と思っていても、一生懸命やれば、今からでも実力を高めていける。菰田弁護士が考える士業の実力レベルと、その高め方とは。

弁護士として何十年も仕事をしている方でも、「ちょっとどうかな」と思う人はいます。逆に、キャリアを積んでいる分すごいと思える人もいれば、自分より後輩でも尊敬できる人もいます。「レベルに年数は一切関係ない」というのが正直なところですね。

実力が高まるかどうかは、結局はどこまで一生懸命にやれるか、1人のお客さんのためにどこまでクオリティを上げられるか次第だと思います。例えば、この辺までのクオリティを満たしていれば一般的には合格点で、平均的な報酬がいただけるというラインはあります。そしてそこで満足してしまったり、そのラインが当たり前だと思っている士業がとても多いんですよ。

でもそうではなくて、一人のクライアントのために「もっと喜ばせられることや、もっとメリットを与えられるものはないか」ということを、どこまで突き詰めて考えられるか。それ次第で実力は変わると思います。

私が一番下の弁護士を育てる時に重視しているのは、想像力です。実力を高めるためにいろいろな前例に当たれればいいけれど、「こういうクライアントにこういうサービスを提供したらすごく喜ぶ」という前例はそうそうありません。だからこそ、自分がお客さんの立場だと仮定したときに、どこまでイマジネーションを高められるかが大事です。

質問:この本では、クライアントのニーズを聞き出す方法として、「TRANSWITCH」という手法を紹介しています。ニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズという2つのものがありますが、潜在ニーズの中でどれだけ想像力を広げられるかが大事です。これがないと、やはり本当の意味でクライアントの役には立てないように思います。実務をする中で、クライアントが自分のニーズに気づいていないというのは驚くほど多いですよね。

潜在ニーズなんて、多分クライアントも見えてないんです。だから、何がニーズなのかを聞いてもクライアントが答えられないというのは、当然のことだと思います。こちらとしては、その隠れたニーズを見つけるつもりで行かないとだめですね。

士業にはいろいろな方がいますが、法律そのものの難解さや新しいことを学び続ける大変さなどから、長く続けてけばいくほど「モチベーションをどう保つか」が課題になってきます。モチベーションをどう保っていけばいいと考えていますか。

人それぞれだとは思いますが、私は、半年くらい前に事務所の経営理念を作りました。弊社の経営理念は、「我々にしかできない仕事で全てのクライアントに感動を与える」です。「他の弁護士事務所に行っても同じサービス提供を受けられるものはしない」ということを、事務所で決めました。

「うちしかできない、他の先生方が手がける気にならない、競合相手がいない仕事だけをやろう」と。そして、1年に1つは新しいものにチャレンジしていこうと。毎年何か一つ自分の中でテーマを決めて新しいものにチャレンジしていくことで、モチベーションを維持している感じです。

質問:「実力を高めていかないと経営を続けていくにあたって辛くなる」ということも書かれていますが、その辺についてはどう思われますか。

私は今弁護士法人としてやっていますが、個人所得を一番増やそう、楽しようと思うと、おそらく法人は切り捨てて、自分1人で弁護士業をやった方が一番儲かるんですよ。仕事量もそれが一番少ないはずで。ですが、それが持つのはおそらく4、5年くらいが精一杯です。

数十年先も最先端でこの仕事を続けていこうと思ったら、おそらく新しいことにチャレンジし続けて行かなければ、いつかはお客さんにとって必要性がなくなっていくでしょう。ですから、そうならないためにも、ずっとチャレンジし続けるつもりでいます。

質問:法律実務家として学んでいくにあたって、どういったことに気をつけていけばいいでしょうか。

あくまで「お客さんにリーガルサービスを提供してお客さんを満足させる」というのが私たちの仕事です。勉強することが目的になるのではなく、自分が何を勉強したらお客さんの役に立てるのかという目線で勉強をしてほしいですね。もちろん自分の興味がある分野もありますし、そこから入るのも一つなんでしょうけど。よく聞くのが、まず勉強して専門性を身につけて、それから仕事を取りに行くという話。ですが、専門性を身につけたとしても、そこのニーズがすごく少なかったら仕事にはなりません。あくまで、お客さんのニーズありきで勉強も考えてほしいですね。その方が楽しいですし。

質問:今回の「士業を極める技術」は、たくさんの方が手にとってくださったと思いますが、本を購入するか迷われている方もいらっしゃると思います。高難度業務ってなんだろう、本当に自分にできるんだろうかと不安に感じている方にメッセージをお願いします。

私は弁護士になって丸5年が経とうとしていますが、おそらく弁護士業界から見たら、私はただの若造です。周りの同期で独立した人もあまりいません。ですが、今では自分の下に弁護士を7,8人、スタッフも十数人雇わせていただいています。この状況にまでなれたのは、この本に書いてあることを自分の中でこの5年間実践できてきたからだと思っています。

この本の通りにやったら本当に仕事が来るのかな、とか、本当に報酬が高くなるのかな、という疑問もあるかもしれませんが、まずは本を読んでチャレンジしてみてほしいですね。やってみて損は絶対にしないですから。まずはやってみて、そこから考えていただけたらと思います。

登録情報
単行本: 208ページ
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター (2017/10/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4820719785
ISBN-13: 978-4820719786
発売日: 2017/10/21
商品パッケージの寸法: 18.8 x 12.8 x 2.5 cm

第1章 激変した「士業」の世界
第2章 高難度業務が必要な理由
第3章 高難度業務を掌握する
第4章 すべての案件を高額報酬に変える方法
第5章 高難度業務を極める
第6章 資格を超えたコンサルティング業務

「士業を極める技術」監修者:菰田泰隆
弁護士法人菰田総合法律事務所代表弁護士
株式会社日本歯科総合コンサルティング 代表取締役

弁護士法人菰田総合法律事務所代表弁護士。税理士・社会保険労務士資格も併せ持つ。九州大学法学部卒、早稲田大学大学院卒。大学院卒業後、司法試験に合格。2013年、弁護士登録と同時に菰田法律事務所を開設し、独立。2014年、顧客急増により事務所開設1年で法人化し、2拠点展開。開業当初より相続等の家事事件に注力し、2016年、遺産分割だけでなく相続登記・相続税申告まで対応するワンストップ体制を構築。2017年、紛争性のない相続や認知症対策のための家族信託にも注力し、株式会社相続の窓口取締役に就任、一般社団法人民事信託協会理事に就任することで、あらゆる相続ニーズに応える体制を構築。また一方で、2016年、社会保険労務士事務所を開設し、クライアントの顧問社労士兼顧問弁護士として、社労士のみ弁護士のみでは提供できない高品質の労務管理コンサルティングを提供開始。2017年、企業のニーズに応えるため、今までにない顧問弁護士形態『フレックス顧問契約』、労務管理体制のトータルリーガルチェック『無料労務チェック』を開始。「弁護士の枠を超えた新しい価値の提供」を理念に、他の事務所ではできないサービス提供を続ける。

PAGE TOP