募集株式の数の上限について

◯事案の概要

会社法第200条に基づき募集事項の決定を委任した場合、募集株式の数の上限は、発行決議をする株数の上限なのか、実際に発行された株数の上限なのか

◯相談内容

例えば、200条に基づき数の上限は3,000株と決議しました。その後、取締役会で2,000株の発行決議を行い、引受けされた株数は1,000株となりました。

この状況において、1年内に取締役会で発行できる株数の上限は1,000株なのでしょうか、それとも2,000株なのでしょうか。

私の解釈は以下です。

200条において「募集事項の決定をするこができる数の上限」となっており、あくまでも決定ベースであることから、1,000株と解釈しました。登記申請もこれをベースにしております。

ただ、法務局としては、累計の発行数をカウントしているわけではなく、2,000株による申請をしても登記はなされるものと考えています。

◯菰田弁護士の回答

先生の書かれている解釈が正しいと思います。

あくまで条文上は決定をベースにしているため、決定された数の上限がこの条文の趣旨ですね。ただ、2000株発行と決定されて、実際に引き受けられる数が1000株という状況を会社法があまり想定していないので、このようなことが起こるのだと思います。

登記実務上は問題なくやれてしまうのでしょうから、やってもらって問題ないと思いますが、厳密な法律論をすれば、前に2000株の発行決議を行っていて上限が3000株である以上改めて発行決議ができる数は1000株と解釈するのが正当な法律論でしょうね。

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