◯事案の概要
契約書の体裁をしていない約款は印紙税課税の対象とならないか
◯相談内容
約款のレビュー業務を依頼されましたが、この約款が印紙代の課税逃れをしているような印象をもっています。
しかし、私の調べた内容からは、印紙は不要であるという解釈をしました。この解釈に自信が持てませんので、先生の見解をお聞かせください。
約款の内容
レビューを依頼された約款の印象としては、本来なら約款とはせず、基本契約書とするべき印象であるが、国税庁のウェブサイト「No.7104 継続的取引の基本となる契約書」を参考にすると、課税の対象となるのは「契約書」であるように読める。
しかし、この約款には記名押印も署名捺印もされていない。また、約款には「甲が乙に交付した別紙注文書に対して、乙が甲に請書を交付したときに成立する」とあり、字面どおり読むと、約款の受け渡し時点では契約が成立していないと考えられる。
つまり、この約款は契約書の体裁をしていないので、課税の対象とはならない。
◯菰田弁護士の回答
印紙が必要な契約書とは、互いの合意を証する書面を指すものであって、契約書という体裁をとっている必要性はありません。
そして、約款という体裁をとっていて、署名押印欄がなかったとしても、合意内容が全て記載されていて互いにそれを受け渡すことによって合意を確認しているのであれば、これは合意を証する書面になります。約款の内容に関して合意していないのであれば別ですが。
約款の内容について互いに合意していなければ、それを受け渡す意味もありませんので、やはり約款をもって合意を証する書面と考えるのが一般的でしょう。だとすれば、約款という体裁をとっていたとしても、継続的取引の基本となる契約書として、印紙が必要になると思います。
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