株式移転計画書に資本剰余金についての具体的な記載がなくても問題ないか

◯事案の概要

株式移転による親会社設立については、株式移転計画書に資本金及び資本準備金の記載が必要となる。資本剰余金について具体的な記載がなくても問題ないか

◯相談内容

株式移転による親会社設立についての質問です。

株式移転計画書の内容で、会社法773条1項5号で、資本金及び資本準備金の記載が必要となります。

この場合、「資本剰余金」について株式移転計画書に具体的記載なしでの記載をした内容で株主総会の通知の添付資料としたり、総会の議決の内容としたりすることはできますか?

具体的には株式移転計画書には下記のような記載をし、資本剰余金については記載しません。

【完全親会社の資本金及び準備金等に関する事項】

完全子会社各社は、本持株会社の資本金及び準備金の額について、資本金の額を○円(資本準備金の額を0円)と決定し、これを相当と判断した。

なお、かかる資本金及び準備金の額は、設立後の本持株会社の資本政策等を総合的に考慮・検討し、完全子会社各社で協議のうえ、会社計算規則第52条の規定の範囲内で決定した。

この理由ですが、顧問税理士が税務的な理由で資本準備金でなく(その他の)資本剰余金で処理することを希望していますが、資本剰余金は「各社の帳簿純資産合計-資本金」で計算するので、3月決算や5月決算の会社の数値は直近決算の数値で純資産価額を計算して更新する予定なので、未確定の時点では記載が難しいからです。

なお、私は会社法に定めがない以上、資本剰余金は内容、金額ともに記載必要ないと考えております。

◯菰田弁護士の回答

先生の理解で問題ありませんよ。

ここで資本金や資本準備金を記載する理由は、現時点での資本金、将来資本金になるであろう金額を明確にするためです。

資本剰余金については、必ずしも将来資本金に組み入れられるかどうか判りませんので、ここでは記載することを求められていません。

※本サイトに掲載された相談事例は、実際に会員様から寄せられたご相談について回答したものを簡略化して掲載しております。
ご入会されると、毎月のニュースレターでより詳しい解説をご覧いただくことが可能です。

関連記事

  1. 創業者間の株主間契約書を規模が拡大した時に作成したい

  2. 根抵当権の解除証書について

  3. 賃貸人変更について賃借人への通知のみで良いか、賃借人の署名押印が必要か…

  4. 相続放棄に影響する行為・しない行為について

  5. 区分所有で賃貸借を認めないことが法律上可能なのか

  6. 代理権を含めた施設入所身元保証や任意後見契約・死後事務契約をおこなうこ…

  7. 破産手続き中だが滞納している水道光熱費などを支払いたい

  8. 会社法751条の解釈について

PAGE TOP