外国人の刑事記録を取るにあたり、婚約者は「正当な理由がある」者といえるか

外国人の刑事記録を取るにあたり、婚約者は「正当な理由がある」者といえるか

2018年9月15日

◯事案の概要
在留資格認定証明書交付申請において上陸拒否期間を確認するために外国人の刑事記録を取りたいが、婚約者の日本人が委任状を提出すれば刑事記録や判決の閲覧は可能か

◯相談内容
A(Bの婚約者の日本人)がBの刑事記録(過去に偽装結婚で有罪判決を受けています。日本在住でAと再婚予定)を取りたいと考えており、その目的は在留資格の申請で上陸拒否期間を確認するためです。Bもこのことは承知です。

B→Aに委任状を提出すれば、管轄の検察庁でBの刑事記録、判決の閲覧は可能でしょうか。もしくは、AとBが婚姻後にB→Aに委任状を提出すれば管轄の検察庁で刑事記録、判決の閲覧は可能でしょうか。また、謄写は本人の委任があっても不可でしょうか。

本人が懲役何年を受けたかすら正確に覚えていないようなので、在留資格認定証明書交付申請のため、こちらで刑事記録をとるしかないという状況です。

◯菰田弁護士の回答
結論としては、「はっきりした決まりが無いので、担当検察官に問い合わせてみないと何とも言えない」というところです。

まず、法的には刑事確定訴訟記録法4条2項で、閲覧できない場合が定められています。そして「閲覧につき正当な理由があると認められる者」は閲覧できるとされています。この「正当な理由があると認められる者」には明確な基準がなく、担当検察官の裁量に委ねられています。

今回のケースでは、委任状があれば閲覧は許されると思います。そして、婚姻すれば配偶者の在留資格が得られるかどうかは重要な問題なので、正当な理由ありと判断されると思います。その上で謄写まで許すかどうかは担当検察官次第ですが、謄写が必要な事情を正確に伝える必要があるでしょう。

いずれにせよ、担当検察官の裁量に委ねられていると共に、各検察庁によっても運用が異なりますので、該当の検察庁にまずは問い合わせられた方が良いと思います。

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