◯事案の概要
被相続人の土地の上に被相続人AがA所有の自宅を新築して住んでいたが、住宅ローンの返済が滞り、土地建物が競売にかけられた。他の相続人BCからAに損害賠償請求訴訟を起こすことは可能か
◯相談内容
被相続人の土地の上に被相続人AがA所有の自宅を新築して住んでいましたが、Aの住宅ローンの返済が滞った結果、抵当権が発動して土地建物が競売にかけられてしまいました。
①被相続人には他の相続人BCもいらっしゃり、BCからすれば、被相続人から相続できた可能性もある土地ということになります。その事実をもとに、BCからAへ損害賠償請求訴訟を起こすことは可能でしょうか?
②被相続人からAへ贈与したわけではないですが、物上保証人としてAへ保証分相当額を請求することは原則可能ではないかと考えております。
③もし可能であれば、それをBCは3分の1ずつ権利を引き継ぐため、Aへの請求は合計で3分の2になるかとは思います。ただ、時効の問題もありますので、現実的には難しいかと思います。
今回はBからのご相談でした。Aとの遺産分割協議をまとめる上で、上記行為が可能であればそれをカードに協議を行いたいとのことです。
◯菰田弁護士の回答
①について
不可能ですね。被相続人が了解して抵当権を設定していますから、特に問題ありません。
②について
もちろん、抵当権が実行されたことで被相続人は二男の債務を代わりに弁済してあげた状態ですので、求償権を持っています。その地位を相続した相続人としては、求償権を行使するのは構いませんよ。
③について
はい、法定相続分のみの請求になりますね。また時効は10年でしょうから、抵当権実行から10年経っているかどうかの問題ですね。