◯事案の概要
100万円を貸し、30万円返済時に通謀して「これで貸借関係は無くなった」旨の、虚偽の合意書を作成したがが、債務者が死亡したため、債務者の相続人に対して残債務を請求したところ、合意書を提示して債務がないことを主張された
◯相談内容
債権者Aが、債務者Bに対し100万円貸した。
↓
BがAに対し、30万円のみ返済した。この時、AB間で通謀し「これで貸借関係は無くなった」旨の、虚偽の合意書を作成。(Bが他者Cから返済資金を用立てする際に必要だったと思われる)
↓
Bが死亡
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AがBの相続人に対し残金70万円を請求したところ、Bの相続人は合意書を提示して債務がないことを主張してきた。
この場合、
・AB間の合意書は虚偽表示のため無効
・債務引受や債権譲渡ではないので、Cは第三者に該当しない
・よって残金70万円の請求に影響はない
と考えていますが、正しいでしょうか?
◯菰田弁護士の回答
本当の真実からすればそうなのだと思います。ただ、問題は通謀虚偽表示を立証できるかどうかですね。
実際に債権債務がない旨の合意書を締結している以上、可能性としては100万円の借金を30万円の返済で終わらせ、残りは免除したという評価も十分可能ですので、そうではなくて嘘の合意書なのだと立証できないと法的には通用しません。となると、そのようなやり取りが残っているなどがないと難しいでしょう。
ですので、真実ありのままでは通謀虚偽表示でしょうが、実際は立証できずに債務は残っていないことになるというのが現実的な終わり方かと思います。
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