減給の対象となる「1事案」について

減給の対象となる「1事案」について

2021年3月3日

◯事案の概要

従業員がお客からのクレームを上司へ報告せず放置していた件で懲戒処分として「減給」を行おうと考えている。この1事案を複数に分け、数回減給を行うことは可能か

◯相談内容

懲戒処分の減給で「1事案につき」という「1事案」について教えていただけますでしょうか。

クライアントから、従業員がお客からのクレームを上司へ報告せず放置していたことにより、損害賠償請求を受けました。(請求額は確定しています)

そのことをもって懲戒処分として「減給」を行おうとしていますが、就業規則に「1事案につき…減給する」と記載されています。

今回、この1事案を複数に分け、例えば「上司への報告を怠たり放置していたこと」「会社に損害を与えたこと」と2つにして、一度に2回の減給を行うことはいかがでしょうか。

私としては、あくまで「1事案」とは、言葉どおり1つの関連する事案(報告を怠り放置し、その結果、会社に損害を与えたこと)であると考えますがいかがでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

そうですね、先生の解釈で間違いないと思いますよ。

本来、ここに関して明確な物差しはありませんので、一般的な常識で1つの事案かどうか判断するしかありません。しかし、今回の件に関しては、会社に損害を与えた件は行為ではなく結果でしかありませんので、別で評価することは不可能でしょう。

あくまで懲戒処分は、従業員の行為に関して懲戒するものであって、損害を与える行動に対して与えます。今回は放置していたことは行動で、損害を与えた事は結果ですので、これをダブルで評価することが不可能だと思います。

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