相続放棄の熟慮期間中に相続人が被相続人の債務を弁済した

○事案の概要
被相続人に係る金銭債務を相続放棄の熟慮期間中に相談者の財産から弁済した場合、法定単純承認事由に該当しないとみてよいか

○相談内容
被相続人は事業の失敗等で個人的にも多額の借金を負っていました。そのため、相続人の全員が相続放棄を行うことにしています。(現在手続き中です)

被相続人が入院していた病院から相談者に連絡があり、「入院費用が支払われていないので、連帯保証人であるあなたに支払ってほしい。」と言われたそうです。その時に、「諸事情により相続放棄の手続きをしていて、認められてから支払うこととしたい。」と告げたところ、病院サイドは了承したとのことです。

相談者が相談者のお金からこの債務を弁済したのは、熟慮期間中なのですが、このことは民法第921条における法定単純承認事由に該当しないとみてよいでしょうか?

○菰田弁護士の回答
先生の解釈で問題ありません。まず、今回の相談者は、あくまで連帯保証人としての自分の立場に沿って弁済しようとしています。つまり、相続財産を処分するのではなく、あくまで自分の債務を返すだけです。ですから、相続とは何の関係もない債務の問題なので、単純承認とも関係ありません。

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