「遺留分を侵害する信託契約は、公序良俗違反で無効」とする地裁判決について

◯事案の概要

「遺留分を侵害する信託契約は、公序良俗違反で無効」とする地裁判決について

◯相談内容

信託法は特別法なので民法に優先するものですが、この間気になることを聞きましたので確認したいと思います。

「遺留分を侵害する信託契約は、公序良俗違反で無効」とする地裁判決があるとのことでした。アメリカでは、信託財産については民法の規定に従う必要がないとの司法判断が下されているそうですが、日本では、信託法をめぐる解釈につき、民法との関連で疑義が生じてくる場面も出てくるのかもしれません。

家族信託を扱う実務家としては、上記の地裁判決も含めて、どのように対処していくべきでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

平成30年9月12日東京地裁の裁判例のことだと思います。
ただ、厳密には少し違い、遺留分を侵害する→公序良俗違反で信託契約が無効という話ではありません。

どのような根拠で信託契約が公序良俗違反で無効と判断されたかは、かなり複雑な論理と多様な事実関係の下ですので、判決文を見ていただければと思います。

ただ、当然の前提として民事信託が遺留分を侵害する場合には、遺留分減殺請求権が発生することは認められました。なので、民事信託で遺留分を回避するということは、従来の学説上も不可能であろうという説が大多数だったのと同じく、裁判所も遺留分は回避できないという結論に今のところは至っています。最高裁の判例があるわけではありませんが。

この点は最高裁まで行ったとしても間違いなく同じ結論になると思われますので、この結論を前提に実務を行うべきかと思います。

※本サイトに掲載された相談事例は、実際に会員様から寄せられたご相談について回答したものを簡略化して掲載しております。
ご入会されると、毎月のニュースレターでより詳しい解説をご覧いただくことが可能です。

関連記事

  1. 解散にともなう”知れている”債権者への催告について

  2. 保守契約で保守する側とされる側の条件が合わない場合の適切な折衷案

  3. 自筆証書遺言の存在が相続人以外誰にも知られていなくても、家裁で検認手続…

  4. 贈与予約契約は可能か

  5. 通謀虚偽表示であることを理由に残債務を請求したい

  6. 銀行預金口座の仮差押えにあたって、債務者は銀行預金口座以外に資産がない…

  7. 受任者の押印がない委任状は正式な効力があるといえるか

  8. 解約手付金の返却について

PAGE TOP