役員報酬の決定を代表取締役に一任するという株主総会の決議は有効か

役員報酬の決定を代表取締役に一任するという株主総会の決議は有効か

◯事案の概要

株主総会の決議にて「役員報酬の決定は代表取締役に一任する」と記載している会社があるが、株主総会が取締役会を飛ばして、代表取締役に一任できるのか

◯相談内容

株主総会にて「役員報酬の決定は代表取締役に一任する」と記載している会社(オーナー会社)があります。

役員報酬は会社法361条1項にて株主総会の決議事項と定められているものの、295条2項では取締役会で報酬決定ができますが、株主総会が取締役会を飛ばして、代表取締役に一任できるとは思えません。

もっとも、株主総会が取締役会に委任し、取締役会が代表取締役にその決定を一任することができる、という高裁判例もあるようで、そうなれば結局、特にオーナー会社の実情から、取締役会を飛ばして、代表取締役に一任する株主総会の決議もあながち不合理とは言えなさそうです。

どのように考えればよろしいでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

役員報酬の決議に関しては、361条7項で役員報酬の総額だけ株主総会で決定して、個々人の内訳に関しては取締役会に委任することを認めています。

条文にある通り、取締役会への委任しか認められていませんので、株主総会から直接代表取締役へ委任することはできませんね。

取締役会の合意で決めることを求めているので、合議で決めた上で代表取締役に委任することを固めるなら構いませんが、いきなりは役員報酬の透明性の観点から認められていませんね。

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