償却資産税の納税義務と対象資産の譲渡の合意の関係について

償却資産税の納税義務と対象資産の譲渡の合意の関係について

◯事案の概要

平成31年1月1日時点では対象資産は前事業主の所有となっており、資産譲渡契約書での資産譲渡日も平成31年だが、事業自体は前年(平成30年)に新事業主に引き継がれる合意があった場合、償却資産税の納税義務は誰が負うことになるか

◯相談内容
償却資産税の課税関係について

償却資産税の課税時期は、原則として以下のようになっているかと思います。

1月1日(賦課期日)時点でその資産を所有している納税義務者に市区町村より納税通知がなされる。

(今回の事案)
平成31年1月1日時点では対象資産は前事業主の所有。ただし、その事業自体が前年(平成30年)に新事業主に引き継がれる合意(口頭)はしていた。資産譲渡契約書での資産譲渡日は平成31年となっており、特段契約書には納税義務に関しての条項はありません。

この事案に関しては、原則論にのっとり、「平成31年1月1日時点で資産所有は前の事業主なので前の事業主が償却資産税の納税義務を負う」という認識で間違いないでしょうか?

おそらくそうだろうと思いましたが、税理士でもあられる菰田先生のご意見もお聞きしたく質問をさせていただきました。

◯菰田弁護士の回答
今回のケースは事業の譲渡自体が昨年で、その事業に関する資産の譲渡だけが今年に入って行われるという建て付けと記載されています。

要するに、これを法的に組み立てると、資産の譲渡を伴わない純粋なのれんとしての事業譲渡のみが昨年に行われ、今年には資産の譲渡つまり資産の売買契約のみが別途行われ、事業譲渡契約と売買契約が別々の時期にそれぞれ存在するという建て付けになります。

実態として本当にこのように二本立てなのであれば、資産自体は平成31年に譲渡されている以上、償却資産税の課税対象は、前事業主になります。

ただ、一般論として事業を譲渡したものの、事業に必要な事業資産はしばらく譲渡せずに後日譲渡するという建て付けはあまり行われないことだと思います。

その空白期間において譲り受けた側が譲り受けた事業を展開するにあたって必要な事業資産をどのように活用していたのか、自社の資産を使っていたのか、その資産を賃貸借で借りて使っていたのか、何らかの利用する根拠があると思いますので、そこはフォローしておいた方が良いと思います。

課税は実態に則してされますので、形式的に契約書が平成31年だから平成31年という判断は税務署もしてくれませんので、実態をよく精査してみてください。

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