パワハラの被害を理由に数日業務を行わない従業員の賃金について

パワハラの被害を理由に数日業務を行わない従業員の賃金について

2018年7月27日

◯事案の概要
スタッフからパワハラを受けていることを理由に業務を行わない日が数日続いている。翌日以降については賃金を支払う必要がないと考えるが、問題はないか

◯相談内容
ある医療法人で、精神不安定なドクターが朝礼のときに激昂し、スタッフからパワハラを受けているということで、朝から業務をボイコットしました。当日についてはまだはわかるのですが、翌日以降も理事会からの納得いく説明がありません。すでに診療には出ない日が数日続いています。
そこで、給料の支払い方についてご相談です。当日は、給料の支払いをするべきだと思いますが、翌日以降は、パワハラへの怒りのボイコットで休憩室にこもりきりの状態で、あまりパワハラを受ける恐怖心とも感じ取れません。翌日以降は、賃金を控除しても良いのでは?と考えますがいかがでしょうか。

◯菰田弁護士の回答
雇用契約とは双務契約ですので、一方が労務を提供しない場合、その対価は発生しません。しかも、民法624条において、労務提供後でないと報酬は発生しないとして、労務が先履行と定められています。ですから、働かない人に対して給料を支払う必要性はありません。
具体的な事情が分かりませんが、理由がどうであれ物理的に勤務可能な状況なのであれば、ドクターは働かなくてはならず、働かないなら給料は払われないでしょう。物理的にそのドクターが勤務不可能な状況だったかどうかが問題だと思います。

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